言の葉の天日干し

感想置き場

エルデンリングの日記

TIPS「毒ホヤは足元が弱いぞ!」
何も知らない僕「毒ホヤって何???」
毒ホヤ「待って〜(異様に大きくて滅茶苦茶追いかけてくる)」
何かを知った僕「クトゥルフの子供みたいな眷属をホヤとは言わんのよ」


その世界は、一言で表すと地獄だった。

 

ELDEN RING

森にいる大きな熊を見て、「アオアシラみたいなものだろう」と挑めば無様にちぎり捨てられ、小さな犬くらいなら余裕かと思えば数匹に囲まれて乗っていた馬ごと頓死する。
蟹も海老もやっぱり異様な大きさで、少しでも攻撃すれば食物連鎖の在り方を身をもって知ることになるだろう。

新しいエリアに着いて、まず集めるのは地図の断片だ。旅の一番のお供はグーグルマップ、地図もなしに未開の地を歩くなんて現実世界でも考えられない。ましてここは地獄なのだから、その必要性は尚更だ。
凶暴な海老の練り歩く薄暗く濁った沼を馬で駆けながら、通りすがりざまに地図を拾う。この世界において止まることは概ね死を意味するから間違っても馬から降りて拾ったりはしない。
いつ物陰から骸骨の群れが襲いかかってくるか怯えながらも、エリアの端に到着した。
微かに光る鉱石があり、採掘をしている人もいる。村だろうか、否そんなことはない。炭坑夫は油断した褪せ人を死角から屠る偽NPCで、よく見れば辺りには毒の壺も常備されている。
僕はこんな世界で慎ましく石と暮らす炭坑夫たちに細心の注意と敬意を払い、気づかれる前に魔法で倒して鉱石を横取りしながら奥へと進んだ。
地域名によれば、ここは遺跡らしい。なるほど、どうりで明らかにランクの高い鉱石が取れるわけだ。それは勿論、このエリアがそれだけ死に近いことを表す。
ハシゴを登り、コウモリを先制魔法で倒してかなり高いところまで来ると、歌が聴こえた。被弾して擦り切れ荒んだ肌から体の内まで響く美しい歌声だった。回復薬も尽きてきた僕の目の先には、女性がいた。よかった、NPCかもしれない。
そんな筈はないし、地獄において信用できるものは己の経験のみであり、ボタンを押した僕の目には当然ロックオンされた敵がそこにいた。ハーピーですね。
ハーピーは毒も使ってくる厄介な敵だったが、なけなしの苔を食べて対処した。苔はもう無い。今思えば、炭坑夫のエリアに毒の壺が常備してあったのは「毒あるぞ」というヒントだったのかもしれない。
しゃがんでそろそろと進んで見えたのは、待ちに待った祝福だ。すぐそばには、いつものあの黄色い霧もある。それは、入るとボスが必ず待ち構えている三途の河のようなものだ。
僕は星見レベル38、長年の経験に裏打ちされた信頼と安定のソロゲーマーだから仲間は灰のクラゲ1匹。
明日の冒険はここから始まる。