言の葉の天日干し

感想置き場

三体

これほど読みやすい翻訳SFは滅多にないと言っていいでしょう。

人間の群れで作ったコンピュータ、飛刃、低次元への展開といったスケールの非常に大きな話が魅力的です。
展開については、二次元で表現された小説を三次元で映画化すると二時間程度に収まることを連想しましたが、これは質量ではなく時間単位での話なのでまた違う話になるのでしょうね。質量という点で見ると、数百ページある本が一枚の記憶媒体になるからやはり小さくなっています。

一つ後悔があるとすれば、「四光年を光速の十分の一で進むのに四百時間……?」と思い、読書途中で調べてしまったこと。解説がその後しっかり描写されていたから、メモするに留めておけばよかった。
しかしそれを経て、この小説は安心して読んでいいということがわかったので、次巻以降は疑問が生じてもとにかく読み進めていこうと思います。
SFは理解できない事柄が積み重なっていくと物語への解像度が低くなってしまうので、中途半端にしか理解できない部分が出てきてそれが自分の知識不足に因るものかと思うと、調べて解消せずにはいられなくなってしまうのですよね……。

三体問題を知らない私が読んでも読みやすかったので、物理をかじった人ならより深く味わえるかもしれません。私のレベルでも位置エネルギーと運動エネルギーの箇所を理解できて満足したぐらいなので、詳しい人なら解る部分がもっと多くて楽しめると思います。大森望さんのあとがきで言及のあった作品も気になるものが多く、積読リストがエントロピー増大の法則に従っているのを切に感じます。